マサイとは、ケニアからタンザニアにかけて約1万5千平方キロメートルに及ぶ乾燥・半乾燥地、いわゆる「マサイランド」に居住する民族です。
日本では「マサイ族」として有名です。
ケニアでは全人口の約2%、タンザニアでは1%に満たない少数民族です。ナイル川に沿って、牛の群れと共に移動してきた牧畜民であるマサイは、誇り高く、規律正しく、伝統を重んじ、自然を崇拝して生きてきました。
生きるために必要なものはすべて自然から得る伝統的な知恵を持っていて、それを次世代に伝え、野生動物と共存し、大自然の中で自然を壊すことなく生きていくことが、彼らのライフスタイルでした。

マサイは、かつてアフリカ全土を襲った奴隷貿易や植民地支配にも屈せず、自らの誇りと伝統文化を守り生きてきましたが、近年、様々な苦境に直面しています。
彼らの大自然は、野生動物保護のための国立公園や、農耕地、都市化や工業化のために押収され続け、自然をもとにした生活が、年々困難になっています。

私は、そんなマサイの人々と共に、その伝統文化や生きる知恵、現代社会の中で抱えている問題を外部の人々に伝え、未来へのステップを共に考えるスタディツアーを1998年から行っています。
マサイの人々の伝統集落にホームステイし、その大地を共に歩き、植物や、野生動物に出会い、マサイと動植物との関係性について学び、語り合い、学びあおうというプログラムです。

マサイの人々は、ケニアとタンザニアで22のグループがあるといわれており、それぞれのグループには、それぞれの独自の文化、方言、政治体制があります。女性たちが作るビーズの装飾品には、各グループ独自のデザインや、色づかいがあり、それを見ればどの地方のどのグループかを知ることができます。

マサイの人々が生活の中で利用している様々な民族的物品や、装飾品、衣類として使うシュカやカンガ、歌声のCDを、このコーナーでは紹介し、マサイの文化や暮らしを身近に感じていただく一助となれば幸いです。

また、この世界の急激な変化と発展の中で、今もなお、自然の中で生きるライフスタイルと独自の伝統文化を守りたいと願うマサイの人々を理解し、彼らの事情を聞き、伝え、応援していきたいと願っています。

早川千晶(ケニア在住)


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